【感想】高畑勲展に行ってきた
お世話になっております。
東京国立近代美術館で、2019年7月2日より、
「高畑勲展」が開催されていると聞き、早速行って来ました。
もともとジブリ作品が好きで、その流れで高畑氏の作品も見ていたのですが、
「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」等、身近な作品の展示も多く、
あまり知識がない状態でしたが、非常に面白かったです。
館内は一部を除いて撮影禁止なので、写真はあまりありませんが、
簡単に見てきた感想をまとめたいと思います。
※この記事の写真は、撮影可の場所かパンフの引用です。
~目次~
第一章:出発点
展示会が時系列に沿って並んでいましたので、
この記事もその区切りに沿って、まとめたいと思います。
まずは「狼少年ケン」や「ホルスの大冒険」といった、初期の作品について。
流石にこの辺の作品は全く知りませんでしたが、「ホルスの大冒険」は、
高畑氏も「青春の一時期のすべてを注ぎ込んだ」と言っており、
精密に計画されたプロットや動きの滑らかさに、圧倒されてしまいました。
各キャラの登場シーンや使用する音楽、主要キャラの感情の起伏等を、
一枚の紙にすべて書き出してあるチャートが、個人的には感動しました。
そこまで全てが頭の中で整理されて、その上で作品が出来ているんですね。
後に出てくる「ハイジ」もそうですが、
とにかくキャラの「動き」が活き活きとしているのが伝わってきます。
調べてみたらAmazon Prime Videoでレンタルできるみたいなので、
後で見てみようと思います。ヒルダかわいい。
第二章:日常生活のよろこび
この辺りから作品がシフトしてきます。
身近に接してきた作品が次々と出てくるので、
全体を通して、ここが一番楽しかったです。
もちろん楽しいだけではなく、セル画やラフ画といった展示もたくさんあり、
アニメーションがどうやって出来ているのか、よく分かる展示となっていました。
ラフ画の時点でキャラの表情や仕草が、動きとして伝わってきます。
ハイジが重ね着をどんどん脱ぐシーンの「早く遊びたい」という感情が、
ラフ画から既に伝わってくる感じ。
ハイジOPにあるあのブランコシーンのラフ画があったのですが、
パンチラするところにちゃんと「パンツ」と指示があって、面白かったです。
ハイジが住む山と、後で出てくる街をジオラマにしていて、
よく見るとあまり見えない小屋の中まで、しっかり再現されていました。
第三章:日本文化への眼差し
「じゃりン子チエ」や「おもひでポロポロ」等、
この辺は舞台も日本になり、急に親近感が湧く感じに。
「じゃりン子チエ」をしっかり見たことは無かったのですが、
現代のJKみたいな仕草するんですね。
ただこのコーナーは、やっぱり「火垂るの墓」でした。
見ると3日くらいボロ泣きし、1ヶ月は立ち直れなさそうなので、
好きなのですが実は繰り返し見たことはあんまりない、っていう作品。
(三ノ宮とか回生病院とか、地元が出てくるのも辛くって辛くって。。。)
ここのラフ画や細かい色指定など、これまでと同じ展示があるのですが、
必死に生きようとする姿、楽しそうな姿、サクマ式ドロップス etc etc。
人がいなかったら思いっきり泣いていたかもしれません。
それだけ感情移入できるし、キャラが生々しく描かれているということでしょうね。
時系列なのでしょうけど、次のコーナーに行く前に、
「平成狸合戦ぽんぽこ」の展示があって、ある意味良かったです。
第四章:スケッチの躍動
ぽんぽこの流れから、「となりの山田くん」の展示に続くのですが、
ここは人が足を止めて、映像展示に見入っていました。
新聞の四コマがそのままアニメになっていて、のんびりとした笑いが良かったです。
ハイジといいぽんぽこといい、緻密で活き活きとした描写が続いていましたが、
ここからはまるでラフ画かのような、一線を画す作品になってきます。
これまでのラフ画も、それだけで動きや感情が伝わってくるものでしたので、
それがアニメになった、といった印象。
途中で流れているインタビュー映像で高畑氏は、
「アニメの線は動きを殺してしまう」旨の発言をしていましたが、
それがよく現れているのが、やっぱり「かぐや姫の物語」のこの描写だと思います。
こうやってコマで見ると、本当に何を描いているのか判りませんが、
これが映像になると、ものすごい勢いでかぐや姫が走っているんですよね。
先程のホルスと同様、どこかで見ておかないといけないと思いました。
番外編:痛恨のミス
これにて展示は終了。そのままショップに繋がります。
展示会の冊子やグッズの他、手ぬぐいやネックレスといったものもあったり。
なにか一つ買って帰ろうと思って、最初は冊子を考えていたのですが、
映画のパンフと違い、かなりの厚みと情報量だったので、
あまり自分向けではないと思い、今回はスルー。
その代り、ちょうど近く帰省するので、
家族と食べられると思い、クッキー缶を購入したのですが、、、
まぁ「ジブリ」の時点で察するべきなのですが、
本展示とはあまり関係のない、ジブリグッズも一緒にたくさん売ってありました。
ちなみに「三鷹」には「三鷹の森ジブリ美術館」があり、そこのクッキー缶です。
ここにも行ったことはありますが、入場は完全予約制ですので、
なかなか手に入らない(?)クッキーが手に入ったと思い、今回は良しとします。
「簡単に」と言いつつ、結構長くなってしまいましたが、
全体を通して、やはり身近な作品が多かったということもあり、
その裏側や高畑氏の思い等を知ることができて、非常に満足できる展示会でした。
会場の東京国立近代美術館は、基本17時で閉館してしまいますが、
金曜と土曜は21時までやっていますので、仕事帰りに寄れるのもいい感じ。
「高畑勲展」は2019年10月6日までやっていますので、
興味のある方は、ぜひ行ってみてください。
ではでは。
しゃっちー