【感想】実写版映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観てきた【ネタバレほぼなし】
毎々お世話様です。
2017/4/7、話題の「ゴースト・イン・ザ・シェル」実写映画が、
満を持して公開となりました。
「ハリウッド版実写映画」と聞くだけで、嫌な予感はちょっとしますが、
予告版を見る感じ、あのサイバーな雰囲気はしっかり表現されていて、
あんまり攻殻機動隊シリーズは詳しくないものの、興味本位で観てきました。
そこで今回は、そんな話題作を観てきた感想を、
ネタバレを含まない範囲で、まとめたいと思います。
実写化、それもハリウッドで実写化して大丈夫なのか、
あの独特な世界観は、どこまで表現されているのか、
そもそも面白いのか、原作ファンも楽しめるのか。
その辺を中心に、まとめていきます。
~目次~
最新映像技術 x ブレードランナー
一応設定を説明しておくと、
とある事故で身体の大部分を損傷し、脳以外が義肢(義体)となった「ミラ」が、
公安9課(攻殻機動隊)のいわば「兵器」として、電脳テロ犯罪を取り締まる中、
軍事企業「ハンカ・ロボティクス」の研究者が、「クゼ」と名乗る男によって電脳ハックされます。
本作はこの「クゼ」という男を追い、事件の真相はもちろん、
クゼやハンカ社の正体、はたまたミラの過去に迫る、というお話。
舞台は香港の街並に、CGやARが飛び交う、近未来的な東アジア。
看板や人々の言葉は、日・中・韓が混ざりあった独特な物です。
「高級飯店」「酒 高めろ!」といったCG表示は、
最近Twitterで話題のニンジャ小説を彷彿とさせます。Wasshoi!
多分雰囲気として、ブレードランナーの影響が多かれ少なれありそう。
ああいうギークなSFファンが好きそうな世界観に、最新の映像技術が追いついて、
映像美や作品の雰囲気は、申し分無いものでした。
じゃぁストーリーはどうかというと、……。
ま、まぁ、アクション映画だし、
サイバーな雰囲気と映像技術を楽しむ映画として見れば。
正直「ネタバレほぼなし」としていますが、
ネタバレしても支障ないんじゃないか、ってくらいベタベタな印象。
もちろん破綻はしていないので、そこは安心してみていられました。
「ミラ」を違和感と見るか否か
上記の通り、そこまでガッツリ攻殻機動隊シリーズを見た訳ではないのですが、
一部ファンの間では、やはり素子が「ミラ」になっている所に違和感があるとか。
バトーやトグサ、荒巻はわりとしっかり再現されているのに対し、
「素子」だけは「ミラ」という人物に置き換えられています。
もちろんこれにはちゃんと意味があり、「素子」は素子で出てきます。
つまりこの「ミラ」は、「素子」とは別の存在として描かれています。
ここを混同し「ミラ=素子」として最初から見てしまうと、
恐らく違和感や破綻につながるんじゃないかな。そこは住み分けが必要です。
とはいえ演者のスカーレット・ジョハンソンもとあるインタビューで、
「もう二度と人種的に異なる役は演じない…」
と発言しているとの報道もあります。
一応元のアニメ映画があるので、当然意識はしているのでしょうけど、
どちらかと言うとそうやって見るほうが間違いな気がします。
ただ本当のシリーズファンからすると、やはり評価は分かれるでしょうね。
演者の話をすると、やはり気になるのが、
荒巻演じるビートたけし。
全員英語を話す中、荒巻とサトーだけは日本語を話します。
言語が英語なので、荒巻のセリフには最初から英語の字幕がついているのですが、
その字幕の出方が格好良かったです。
セリフに合わせて、荒巻の脇にポップアップしてくる感じ。
演者の渋さはとても様になっていたのですが、
あのジブリ的な棒読みは、あれで良いのかとちょっと思ったり。
あとどうでもいいですが、スタッフロール等で「ビートたけし」の名が流れると、
英語では「"Beat" Takeshi Kitano」になるんですね。
「古き良き」SF
攻殻機動隊が出てきた時、電脳や義肢といった設定は、
独特で近未来的で、非常に面白かったと記憶しています。
あまりSF物を見ない私ですが、この設定だけでアニメ版を見たほどです。
時は流れ、この2017年に実写映画化となりましたが、
今こうやって見てみると、どこか「ありがち」感が漂う印象でした。
技術は追いついた、けど遅かった。ということかな。
「マトリックス」くらいのタイミングで出ていたら、
もっと印象は違ったかもしれません。
ティザー等で大プッシュされていた割には序盤しか出番のない芸者ロボなど、
「日本発」を全面に出すあたり、「サイバーな東アジア」のイメージが強いですが、
ブレードランナーの時代ならまだしも、現代であのイメージって通用するのかな。
米国でコケ気味なのも、少し頷ける気が。
雰囲気は最高ですし、映像技術も申し分ないです。
そういう意味では、是非映画館の大画面+音響システムで見てもらいたい映画です。
ただストーリーとか舞台設定とか、細かい所を言い始めると、
よく言うと「古き良き」、悪くいうと「ベタ」といった印象。
マンガやアニメ版が評価されるのは、あのサイバー感が当時画期的だったからで、
それに影響された作品が多く出た後、改めて映像化したものをみると、
やっぱり「うーん」といった感じ。
個人的には「アニメで止めておけばよかった」と、ちょっと思います。
義体とタチコマ
わりと厳しめな意見を書きましたが、
じゃぁ面白くないのかというと、そんなことはありません。
「SFアクション映画」として見ると、面白い作品でした。
「攻殻機動隊」として見ると、やっぱりアニメのほうが好き。
ところで、上に貼ったティザーにもありますが、
ミラがすっぽんぽんで乗り込んでくるシーンが何回もあります。
もちろん身体は義体なので、変な雰囲気は一切ないのですが、
女性にしてはえらい恵体で、ちょっとゴリラみたいなのが逆に新鮮でした。
潜入捜査とかするから、これくらい要るのかな。
けどそこでボインボインとかにしないのは、海外の映画だなと思ったり。
原作もそんな感じじゃないですけどね。
あとあれ、タチコマ!
あまり詳しくない私でも、「タチコマがかわいい」と言うのは知っています。
ただ事前情報で「タチコマは出てこない」というのも聞いていて、
あまり期待せずに、映画を楽しんでいた所、
「多脚戦車はどうした」
こんなセリフが出て来る訳ですよ。
タチコマ来るか!? と思って見ていたら、
とんでもない化物が出てきます。でもちょっとタチコマっぽくて面白かったです。
まとめ
最新技術を楽しむサイバーSF映画としては、非常に面白いと思いましたし、
「攻殻機動隊」としてみたら、人によって評価分かれそうです。
上に書いたとおり「ミラ=素子」と最初から見てしまうと、破綻します。
ただ「じゃあこの少佐は素子ではない」と思って見られるかというと、
作品のアイデンティティにも関わるので、ファンには難しそう。
さらに穿った見方をすると、
「なんで素子が白人やねん!」
「ネットにつながって記憶や個人情報ハックとか、OK Goo...」
「無法地帯やヤバそうなところはアジア人が多くて、上層部は白人なん?」
とかとか、無意味で不毛な議論もできそうですが、
そういうこじつけは抜きで、思ったように見れば良いんじゃないですかね。
あまり原作に詳しくない人には、入り口として丁度いい作品だと思います。
とりあえずまだ見てないアニメ映画は見てみようかな。
という訳で、ネタバレを含まない程度での感想でした。
評価は色々ですが、面白い映画だと思いますので、
よろしければ、是非見てみてください。
出来れば映画館か、音響システムのちゃんとした環境で!
ではでは。
しゃっちー
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